それって Excel のせい?

だいぶん前から、日経コンピュータで『Excelレガシー再生計画』って連載記事があります。
まぁ、早い話が全体的には J-Sox 対応などを考えると「業務部門で作った業務用のExcelブックはダメダメだ」という内容ばかりで個人的には同意しかねるものばかりなんですが。
 
今回、気になったのは↓の前半(1〜3)。
「【危機の構図】仕事を間違え、維持もできず」
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20080219/294178/

(略)
「運用収支を予想するシミュレーションの計算結果が実際と1億円近くかい離してしまった。間違いに気付いたからよかったものの、このまま投資家に公開してしまったらどうなっていたか。背筋が寒くなり、自分が作ったExcelシステムを捨てようと決意した」。
 
森ビル・インベストメントマネジメントの富山隆資産運用部長は、2006年10月に起こした、不動産投資物件の収支予測における計算間違いをこう振り返る。原因は、富山部長が作成した「Excelシステム」にあった。
(略)
ただし、操作がいささか複雑であり、計算間違いを起こしやすいシステムになっていた。2006年10月に起きたミスの原因はこうだ。管理対象の9つの不動産の収支データを、Excel上に展開した9枚のシート上に物件ごとに張り付け、シート間でセルのデータを連携させて運用益の合計額を求めていた。ところが、「他のシートから参照されているセルだと気が付かず、あるセル内の数値を消してしまったことで、他のシートに影響が及び、収支の予測結果が本来あるべき値と1億円近く異なる結果になった」(富山部長)。
(略)
保守作業も富山部長しかできなかった。富山部長が他部署に異動すれば、Excelシステムを誰もメンテナンスできなくなる。
 
財務部の根本昌マネージャーはExcelシステムを使って収支予測のシミュレーションはできたものの、「複雑な税金計算や諸手続がExcelシステムにどう実装されていたのか、なかなか理解できなかった。メンテナンスまで引き継ぐのは到底無理だった」と語る。
(略)

<一部引用>
 
そりゃ、Excel のせいじゃないだろ? 操作性の問題はそもそも設計ミスで、別のアプリで作ったところでダメダメの設計じゃダメダメのものしかできないはず。というか、ちゃんと操作について、設計したのかどうかも怪しい。
保守性にしたってそうだ。最初から、保守しやすいように作り込まないと、保守しやすいようにはならない。これも、やはりちゃんとそこんとこ考えて設計してから、作るべき話だ。
勿論、設計したときの資料はちゃんと誰もが理解できるように記述して残しておくのは当たり前だ。それもきっとやってないんだろう。
はっきり言って、趣味と業務をはき違えているとしか思えない。
自分の作業の効率化が目的で作るものと、業務システムとして使うものの区別がついてないだろうな、このおっさん。
 
・・・と、だーっと思ったんですが、日本全国にこーゆー勘違いはいっぱいあるんでしょうね。
でも、それを Excel のせいにするのは間違っているし、そうして欲しくないです。
 
Excel は極めて高度な機能を持っていて、業務システムを組むことも可能だと思います。
ただし、それは業務システムを組む能力がある人/組織がやった場合の話で、ちょっと Excel が得意なだけの素人が業務システムを組めたと思いこむあたりに大きなリスク/間違いがあるんです。
 
あぁそっか、そういうことになると Excel でばかり起こる問題になるのか…
 
※.Excel World の 2008年2月24日 17:50 の日記をコピーしています。
http://excel.sns.fc2.com/excel/